朝のならわし
窓を、ひとつ開ける。
空気の温度に気づく。
今日の空を、少しだけ見る。
まだ、何かを決めなくてもよい時間です。
雨のあと、いつもの道で。私たちの祈り
大きな答えを、急がない。
道端の草にも、欠けた器にも、
まだ知らない顔があります。
私たちは、すべてを説明するより先に、
立ち止まって見つめることを大切にしています。
祈りは、正しい言葉を選ぶことではありません。
うれしかったこと。悲しかったこと。
そのどちらでもない、今日のこと。
まずは、自分の声に耳を澄ませます。
すぐに分からなくても、かまいません。
祈りが届いたか、私には分かりません。
ただ、あなたが祈ったことまで、
なかったことにはなりません。
日々のならわし
毎日でなくても。
思い出したときに、ひとつだけ。
朝のならわし
空気の温度に気づく。
今日の空を、少しだけ見る。
まだ、何かを決めなくてもよい時間です。
昼のならわし
器の重さを、手のひらで感じる。
ひと口目のあいだだけ、
次にすることを考えずにいてみます。
夜のならわし
忘れたくないことを、一行だけ。
うまく書こうとしなくて大丈夫。
誰かに見せるための言葉ではありません。
暮らしに残るもの
古い塀に、ときどき埋め込まれている小さな環。
何のためのものか、ヨルも知りません。
雨の日には、水がたまります。
晴れた日には、小さな虫が休んでいます。
今は、それでよいのかもしれません。
言葉を届けるひと
この庭にいるひと
道端の石や、使い道の分からない道具を拾います。
質問されると、少し考えてから答えます。
「この石にも意味があるのですか」
「ありません。今朝、拾ったばかりです」
分からないことには、分からないと言う。
ときどき、大切な約束を忘れて叱られる。
そんなふうに、この庭で暮らしています。
答えのない日にも、
帰ってこられる場所でありますように。